【はじめに】
　“還暦”この二文字を意識したのは、つい最近のことである。と言うのは、度々会って一杯やる同期仲間の他愛ない話の中「俺ガタ、来年還暦になるドゴダナア」ふと一人が呟いた。触れたくない・触られたくないこの二文字・・・。でもやっぱり避けて通れない。「ヘバ、一人でも多く集め還暦の道サ引っ張り込めバ寂しグネガラ一期会ヤルべ」。こうして開催したのが「本掛還り（ほんけがえり）の宴」である。

　 　【車　中】
　新年早々、お屠蘇が抜けきらない一月七日、秋田駅西口一時三十分、恩師と昔の生徒を乗せた「還暦号」は出発したのである。スタートから誤算があった。年明け早々の大寒波により空路・新幹線マヒのため県外在住組からのドタキャン、加えて豪雪悪路のため県内組はマイカーを避け多数が送迎バス(二台)にくら替えされ、立席はしないものの超満員。駅前乗車から溢れタクシーで追いかけた世話役達、ある程度の予想はしていたが計算どおりにはなかなか巧くはいかないものだ。だが、かの満員バス、乗合と同時に車中はもう数十年前の「修学旅行」気分である。過ぎし日々の思い出を語る顔、顔・・・気持ちは当時と同じ。所要時間を考えれば本来なら足腰が痛いと言うはずの面々、昔話に花が咲き誰一人として文句なし。やがて宴の宿へ到着。

　 　【神　事】
　予定時刻から少し遅れの神事。一期生七十名弱の還暦、恩師へは健康長寿の御祓い、神殿脇には母校事務長・六期鶴田宣夫氏の手配してくれた同窓会旗が立ち会いし、厳粛のうち無事修了。直ちに別室での記念写真、これまで何回か一期会を開催してきたが全員の集合写真を本職の写真屋さんへ注文したのは初めてではなかったか。

　 　【うたげ】
　四時からの懇親会は、アドリブの効いた今回の総世話役、県庁・石山博茂君の司会進行、中沢一男先生(当時学年主任)の乾杯発声、当日まで伏せていたが「恩師の長寿を祝う会」としても冠したので、諸先生もご機嫌良くそれぞれ近況報告等をされた。母校創設期のかくれ話として、畑澤潤一先生(前県教育委員長)曰く、全県から優れた教師陣を集め配置するという県の前宣伝が効いたせいか、六学級計画が八学級四百十数名の規模拡大となった。教職員定数は拡大前なので相当忙しかったが、我々は今もって団塊一期生を訓導した四十数年前の当時を誇りに思うし、教員生活で一番輝いていた頃で懐かしい、と微笑んだ。各先生からも含蓄ある言葉が続いた。昨年、高名な先生が相次いで他界された。有江和郎先生、高橋紘一先生、渡部久夫先生、岡睦夫先生、年齢が最も近く兄貴分としても慕われ、特に一期会には必ず参加下さったナベ先生にはもう会えない、と思うと何とも無念である。(会の冒頭、物故者へ全員黙祷したが、同期二十名弱が既に黄泉の国へ旅立っている。)
その後宴も最高潮に盛り上がり、予定していたクラス毎による参加者スピーチ時間を省略しもなお足りず、お膳を前に仕事や家族のこと、互いの健康の確認、近い将来の年金のこと等々の語り合いもアッという間の四時間であった。北都銀行・菅原晟君の中締め、最後に県庁・仲谷廣君の音頭で声高らかに校歌斉唱し、お開きとなりました。新潟の酒販店・中村優子さんの差し入れの中から、越乃寒梅を御神酒として献上、雪中梅・八海山などの秋田では口にすることが希な銘酒が振る舞われ宴席でも大好評、通の連中には特に濁酒に人気があったようでした。

　 　【二次会】
　久々の一期会、泊り組全員での二次会は世話役・伊藤健一君、仙北谷裕子さんが中心となり軽部昭夫先生を囲んで此方も大盛会。 中でも北九州小倉から空路乗り継ぎセーフの陣山志津子さん、二週間後に三男が見事プロボクシング東洋太平洋チャンピオンになった榎良子さん、二年次に転校したため今回から初登録初参加の秋田市役所・中田明朗君、スナップ写真担当はＡＢＳ・鈴木茂樹君、突然女性群だけへ夜食として豪華出前寿司を取り寄せた元野球部投手・柴野精允君、家族介護や老人福祉を親身に語りかけてくれたケアマネ・熊井昇子さんと特養施設長・伊藤二雄君などなど、多士多才が夜遅くまで色々懇談したのでありました。 翌早朝、朝食前の浴場でのこと「さて次回はいつ頃か、となり五年後イヤイヤ待てないので三年後には・・。皆で新校舎訪問はどうか等々。」の話題もありました。

　 　【御礼・むすび】
　田村宏、野口養吉、岡部敏の各先生からは会費参加やメッセージ参加、ドタキャン連中からの心遣い、母校教育振興会長や五期会から祝盛花と祝電、そして名簿作成と発送に五期・川合俊昭、鈴木力雄両氏が協力してくれた。ご紹介しながら感謝御礼申し上げます。
　写真の神主は八郎潟ハイツ社長・北条侑聰君。生家は旧飯田川町「下虻川鎮座神明社」なので、今回諸事お願いした由縁。喜寿までお札やお守りに頑張ろうと手を合わせた。
　恩師、関係諸氏、同期世話役へ感謝御礼申し上げながら報告とします。　
　「還暦バンザイ」・・・。　

　 ○写真説明　最前列右から軽部先生、竹内一朔先生、宮本栄先生、加藤三夫先生、中沢先生、
畑澤先生、三浦順治先生、佐藤悦郎先生、北条神主、田口会長。　
　

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